日本における印鑑の歴史と文化、印鑑に対する思いを大切に

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今回のブログでは、印鑑の歴史と文化についてご紹介します。近年印鑑を廃止する声が強まっていますが、本当にそれで良いのか考えるきっかけになればと思います。

 

~印鑑の発祥と日本での発展~

印鑑は古代メソポタミア、エジプトなどで使われていたようですが、その印影は必ずしも文字ではなく、絵画的な文様などもあったようです。やがて中国にも伝わり、漢字文化圏の地域でも使われるようになりました。

日本に入ってきた印鑑の実在するものは、邪馬台国の金印です。その後日本では独自の発展を遂げ、平安から鎌倉時代になると公家や武士が自分の権利を表すものとして使うようになりました。やがて江戸時代になると町人も自分の権利を示すために使うようになりました。

明治になると権利や財産を明確にするための印鑑登録の制度ができ、国民の多くが印鑑を持つようになりました。印鑑の種類はその使用目的により、実印、銀行印、認印、さらには家庭印に分けられ、今日まで使われてきました。

また一方で、古くから印鑑が使われてきた中で、自分の名前を彫りこんだ印鑑は自分の分身であり、お守りであるという意識も生まれ、生涯の重要な場面で使われる大切なものとして考えられるようになりました。

 ~大切にしたい印鑑への思いと重要性~

近年、印鑑を廃止する声が強まっていますが、本当にそれで良いのか考えていただきたいと思います。本来印鑑を捺印することは、その軽重を問わず、自分の権利と責任を証明するものです。そして、大切な書類に捺印する時に感じる覚悟と厳粛な気持ちを思い出してください。

コロナ禍の影響によるテレワークの加速など、ビジネスのスタイルは大きな変貌を遂げています。従来のようにすべての書類に対する捺印は、不要になっていくこともあるでしょう。官庁や民間会社で捺印が不要になる書類が出てくれば、それはそれでよいかも知れません。しかし、印鑑の廃止が稟議システムを変えることになるのかは、見ていきたいと思います。

個人が印鑑を必要とする時は、主に金融機関と役所です。昨年政府から役所の書類の捺印を減らすような指示がありました。捺印が必要でないものもあると思いますが、大切な書類に対しても捺印不要というのは、いかがなものでしょうか。

印鑑は日本の歴史と文化の中で育まれた貴重なものなのです。また、熟練の職人技で一つ一つ丁寧に作られた手彫り印鑑は、日本が誇る伝統工芸としても素晴らしいものです。日本における印鑑の歴史と文化、今でも多くの人が持つ印鑑に対する思いは、これからも大切にしていきたいと思います。自分の権利と責任を証明する印鑑の持つ役割と重要性についても、考えていただきたいと思います。