印鑑の重要性と印鑑登録に適した印鑑とは【姓名学コラム】
生まれたら誰しも授かる名前。その名前を代表し、自分の権利や責任を証明するのが印鑑です。近年、行政が進める脱押印、公的機関での押印廃止の流れにより、印鑑を使う機会が減っているかもしれません。しかし、印鑑にはただ押印をするだけではない大切な役割があり、その役割に適した印鑑を持つことが大切です。
このコラムでは、印鑑の歴史からその重要性、印鑑登録に適した印鑑の選び方をご紹介します。
1.印鑑の発祥と日本での発展
印鑑は古代メソポタミア、エジプトなどで使われていたようですが、その印影は必ずしも文字ではなく、絵画的な文様などもあったようです。やがて中国にも伝わり、漢字文化圏の地域でも使われるようになりました。
日本に入ってきた印鑑の実在するものは、邪馬台国の金印です。その後日本では独自の発展を遂げ、平安から鎌倉時代になると公家や武士が自分の権利を表すものとして使うようになりました。やがて江戸時代になると町人も自分の権利を示すために使うようになりました。
明治になると権利や財産を明確にするための印鑑登録の制度ができ、国民の多くが印鑑を持つようになりました。印鑑の種類はその使用目的により、実印、銀行印、認印、さらには家庭印に分けられ、今日まで使われてきました。
2.印鑑のもつ重要な3つの役割
印鑑には3つの重要な役割があります。
印鑑の役割①|印鑑は自分の分身、お守り
古くから印鑑が使われてきた中で、自分の名前を彫りこんだ印鑑は自分の分身であり、お守りであるという意識も生まれ、生涯の重要な場面で使われる大切なものとして考えられるようになりました。
印鑑の役割②|印鑑は自分の権利と責任を証明するもの
印鑑を捺印することは、その軽重を問わず、自分の権利と責任を証明するものです。そして、大切な書類に捺印する時に感じる覚悟と厳粛な気持ちを思い出してください。
仕事上などでは、コロナ禍の影響によるテレワークの加速など、ビジネスのスタイルは大きな変貌を遂げ、官庁や一部民間会社で認印の捺印が電子化や不要の場合もあります。しかし、契約には会社の代表印(実印)と銀行印や会社印(社印)が必要です。これらの印鑑はしっかりした手彫り印鑑でなければ登録の意味がありません。偽造も防止します。
そして、個人が印鑑を必要とする時は、主に金融機関と役所です。実印は印鑑登録(市町村役場に登録)し、マンション・マイホーム購入の際などの不動産関係、車の購入など契約に必要となり、公正証書の作成など重要な書類や権利を明確にするのに使われます。銀行印は、銀行口座の開設や保険の契約などに必要です。
印鑑の役割③|個人または法人を証明する印鑑登録
印鑑登録は個人または法人を証明する制度です。そのため、印鑑はそのものが個人または法人を証明するために重要な役割を果たしているのです。印鑑登録制度が無くなれば、それ以外の方法で私の意思を証明しなければなりません。そのため、まだまだ印鑑は、日本の社会に必要とされています。
また、印鑑登録に用いる印鑑は、偽造防止や盗難の際の対応にも考えておく必要があります。
3.印鑑登録に適した印鑑とは
前項でも説明したとおり、印鑑登録により個人または法人の意思が印鑑により証明されることなります。そのため、登録する印鑑は、適切なものを選ぶ必要があります。
印鑑登録に適した印鑑①|手彫りであること
熟練した職人により掘り出される手彫りの印鑑が適切です。手彫りであることで偽造を防止することができます。また、盗難に備えて、印鑑の印影を記録しておくほうが良いでしょう。
印鑑登録に適した印鑑②|耐久性の高い印材を使用する
印鑑を購入しようとしたとき、その値段にびっくりされる方も多いかもしれません。値段の差はほとんどが印材の金額差です。高級品として象牙をイメージされる方も多いかもしれませんが、ワシントン条約により取引を規制されていることもあり非常に高価で手に入りにくいものになっています。しかし、象牙でなくとも、耐久性の高い良い印材はありますので、おすすめの印材をご紹介します。

柘植・本柘植
植物性の印材として古くから使われてきたものです。見た目も美しく、適度な粘りがあり、繊維が緻密で硬度も備えています。中でも本柘植と呼ばれる国内薩摩柘植は、色、艶ともに高級感がある最高品です。

黒水牛・真黒水牛
黒水牛の中でも上級の「芯持ち」と呼ばれる角の中心部分を撰んでいます。適度の粘り気があって耐久性に優れ、使いやすさにも定評があります。長くお使いいただいても変形することなく、鮮明な印影を保ちます。真黒水牛は無染色で色となる印材で、自然な黒の風合いがあります。

乳白水牛
乳白牛の角の印材で、「芯持ち」と呼ばれる角の中心部を選んでいます。 適度の粘り気があってひび割れも少なく、耐久性があり、使いやすさに優れています。柔らかい雰囲気がある乳白色の美しい印材です。
これらの印材は1万5千円から3万円程度かかりますが、耐久性が高く長くお使いいただけます。
4.おわりに
いかがでしたか。印鑑は日本の歴史と文化の中で育まれた貴重なものなのです。また、熟練の職人技で一つ一つ丁寧に作られた手彫り印鑑は、日本が誇る伝統工芸としても素晴らしいものです。日本における印鑑の歴史と文化、今でも多くの人が持つ印鑑に対する思いは、これからも大切にしていきたいと思います。
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